マガジンのM・I・Qってどうよ?


2004/09/19に、私は次のサイトの内容を見ました。
汚い奴らに騙されるな!!マガジンのM・I・Qをぶっ潰せ!!
http://rokusei-so.cocolog-nifty.com/syosai/2004/09/post_12.html←リンク切れ

というページです。私も毎週欠かさず見ている、週刊少年マガジンのとある連載マンガについてのお話です。

さて、問題になっている「M・I・Q」がどんな話なのかといいますと、
変なおっさんが何故か学校の教師としてやってきて、「金に関するルールが変わった」と生徒に訴えて、「これからはマネーのIQが必要だ!!(だからタイトルがM・I・Q)」という展開で、お金に関する話を書いてあるマンガです。
そしてまあなんだかんだで金についての考え方の話をはじめるのですが、3話目からはひたすら株の売買の話を続けていきます。どういう取引を紹介しているかというと、一日の内に株を売り買いしきるデイトレードといったものを取り上げています。
デイトレードのような短期の株取引は、最低でも一人以上の誰かが必ず負けているギャンブルそのものなのですが、「M・I・Q」の中では、勝ち方を知っていれば必ず勝てるかとのごとく書いています。原作者は株でほとんど儲けれていない人間なのにです。

ですので今回リンクさせていただいたのページでは
「リスク面の説明をきちんと行わず、ただ単にアレをこうすれば必ず儲かるのごとく書くのは何事だ! 子供にそんな誤った認識をさせていいのか? ふざけるな!」
といった内容が書かれています。

で、ここでまずなぜデイトレードやらがギャンブルにあたるのか説明してみます。

とかいいつつも、わかりやすいたとえをリンク先でかいてくれているのでその引用です(笑)。
たとえば株の取引でAくんが100万円の株を買いました。
手数料は1万円でした。
110万円になったので利食いをするため売りました。
手数料は1万円でした。
〜略〜
Bくんは元金110万円と手数料2万円を投資して100万円になりました。
Bくんは12万円の損です。

株屋はA・Bくんの手数料4万円を儲けました。

結果としてBくんはAくんの勝ち分の8万円と株屋の取り分(手数料)の4万円を払ったことになります。

(そのまま全部引用すると、引用の範疇を逸脱しそうなので割愛します。お手数ですがリンク先を検索して確認した後、ここに戻ってきてください)

これが、株の短期売買によって利益をえる投機的な取引の仕組みです。
Bくんの負けを元に、Aくんは儲 ける。
ここでは生産的活動(=価値を生み出す行為)を誰かがしたわけではありません。
つまるところ駆け引きによって誰かが勝ち誰かが負ける、ギャンブルなのです。
もちろんギャンブルをすること自体が悪いわけではありません。それをするかしないかは個人の自由でしょう。
ただし、短期の株への投資はあくまでギャンブルなのだと理解する必要があるのです。



それに対して、長期の株取引はギャンブルではないのでしょうか?
正直なところ、最終的に売買する場合はギャンブルといえるでしょう。
しかし、長期の投資的な株取引の本来の意味は
ビルゲイツは言った
「私がマクドナルドの株を買うのはマクドナルドのハンバーガーが好きだからだ。マクドナルドに大きくなって欲しいからだ」
といった考えを元にしています。(これまた件のページの一部)
そして、会社が大きく成長し、たまに配当をもらうというスタンスが長期の株取引のあり方なのです。
こちらは株を発行する会社の生産的活動の活動資金として株を買い、会社が利益を出しています。
(もちろん会社も倒産したり、株主の株券も紙くずになる可能性はあります)
ですがこちらは短期の売買目的の株取引と違って、価値の創造が会社側で行われていますよね? そして株主はその手助けを資金提供によって行っています。
ですので、最終的に売買する気があるなら、長期であってもギャンブルといってもいいでしょう。
しかし株を売却せずにずっと保有しておくつもりならば、会社への貢献と会社からの利益の還元だけの関係であり、誰かを負かすことによってしか儲けれない ギャンブルとは根本的に違うのです。

ここまでが「株の短期投資はギャンブルである」ということの解説です。
といってもこの程度の低レベルの内容は、常識なんでしょうけども…。

で、次に
> 判断力のない子供たちに悪影響
という記述があったのでそれについてコメントしてみます。

確かに「M・I・Q」の今の内容は、子供たちへの悪影響には違いないのですが、ちょっと待ってください。
これは子供だけの話では決してないと思うんですよね…。

大人の中にどれくらい子供以下(もしくは未満)レベルが含まれていると思いますか?
「普通に自分で物事を判断し、情報の取捨選択が行えるのが、20歳以降の人間全てである」をついつい思いがちですが、実際はかなりの割合でそれができない 人がいるのです。
10人に1人くらいはいると思っていいんじゃないでしょうか?(左記の数字は個人的な感覚です)
ここを読まれてる方も、一度周りをよーく見てください。たとえば勤めている会社や店、ご近所や親類で頭の悪い人や自己中心的な人に心当たりありませんか?
ちなみに私や私の周りにはけっこういます(笑)。

それに私も今25歳ですが、いまだになかなかのお馬鹿さんです。
こういうものを見せられても、しばらく時間かけて考えないと、鵜呑みにしかけることもあります。

ですから情報を発信する側には、フィクションかそうでないかの区別をつきぬくい内容を、むやみやたらと偏った内容で書くのはやはい良くないと思います。
本来は情報の受け取り手が取捨選択すべきですが、現実的にはそれができない人がけっ こういますので…。
まあ発信するのは言論の自由といえますが、それならそれ相応にきちんと叩かれてもらわないと困りますね。
嘘を言えば嘘吐きと呼ばれるのは、嘘吐きの義務定めなのですから。

こんな「M・I・Q」の様に「絶対儲かる」なんていう人は、その情報 を出版するなりなんなりで小金をだましとったり、実践した人間をカモにしているわけです。決して信じないようにしましょう。(間違った情報を見てみること は自由です。ただ、鵜呑みは危険なのですよ…)
実際鵜呑みにしている人がたくさんいるんですよね…。「M・I・Q」を褒めちぎってるサイトも結構見かけますから…。


で、最後に…
> なんと言っても俺の夢は「アニメで戦争を無くし幸せな世界にすること」ですから。
> だから俺の作品を見た子供は戦争をしない子供になると信じて作っています。
> それが俺の作品作りの根底にあります。
上は紹介しているサイトの管理人さんの発言です。
素晴らしいですね、とても好感が持てます。
影でこっそり応援していますので頑張ってください!



※補足
小 泉の波立ちでも短期の株売買についてはコテンパンに書いています。私の駄文を見るよりは、そっちみて勉強するほうがいいですね(笑)。
「M・I・Q」の原作者のサイトはhttp://kuropanda.jp/blog/で す。

補足X (04/09/21 追加)
AくんとBくんの例えですが、念のため補足しておきます。(でないと偏った意見になりそうですので)

ここで最終的に株価が100万円に戻ったのは、会社自体の魅力(=業績)が変わらなかったことを前提にしています。
短期売買の場合、1日の枠におさまるかどうかは決まっていませんが、株価の変動理由は会社の業績ではなく、その株の需要と供給のバランスで価格が変動しま す。
ですので、最終的には100万円の株価は100万円に戻ってくる事となるのです。

但し、ある程度の期間上がり続ける場合もあります。ですが会社自体の魅力が変化していない場合は、最終的にその株価は暴落するだけです。

もちろん一日やそこいらで会社の魅力が急激に上がったりする場合もあります。当然下がる場合も。
しかしそれを予測することは非常に難しく、インサイダー取引じみたことでもしないとなかなかうまくいきません。
また前評判の悪かった新製品が実際は大人気になることをみこしたりして株価の上昇をあてることもできます。しかしこれまた市場の動向や製品を見る目が必要 となってきますので、誰も彼もができる話ではありません。
あらかじめ上下するのを短期的に予想するのは非常に難しいのです。もちろん長期的であっても難しいですが。

あと、予想などせずに、その会社が一躍有名になるような情報が流れてから売買を行うという手段もあります。
ですが、実際そういう場合になると買いたくても誰も売ってくれなかったり、売りたくても買い手がいなかったりします。ですのでこれもいつでも簡単にできる 話ではありません。

だから通常の短期売買においては、一般的な立場の人間は結局ゼロサムゲームから抜け出す事はできないのです。
「M・I・Q」で描かれているような群集心理を読む手法もアリといえばアリなのですが、結局のところ全員が同じ方法をとれば誰かしら「ここで売って儲けがでていたはずなのに、すぐに売り切る事ができなくて損失が出た」とかいうことになってしまいます。


補足Y (04/09/21 追加)
> 判断力のない子供たちに悪影響
の部分について、大人でも判断力は高くないということを書きましたが、大事なのはそれだけではありません。
そもそも立派な作品は、人に影響与えれてなんぼです。
件のページの管理人さんも
> なんと言っても俺の夢は「アニメで戦争を無くし幸せな世界にすること」ですから。
と言っているように、優れた作品は人の行動や心理に多大な影響を与えます。
まあそういう風に(悪)影響を与えそうであるという意味では、「M・I・Q」も立派な(悪質)作品とも言えなくは無いですね。

実際私の今の人格は、マンガや小説やアニメ、その他書籍や音楽から影響を受けまくって出来ています。
それを考えれば「しょせんマンガなんだから悪影響なんか受けた方が悪い」なんてことはなく、そんな作品を作った作者のほうに問題があるといえます。
まあ、それを作る作らないは前述したとおり自由ではあるのですが、それを平気で掲載するマガジン編集部は作品を提供する立場としては無能&無責任といわれても仕方ないですですね。
まあもちろん、この後株で失敗する話をきちんとおりまぜれば、問題ないともいえますが…「M・I・Q」にそんな気配は微塵も感じれません。


駄文置き場トップへ戻る
サイトトップへ戻る